繊維機械の説明

「繊維機械について」〜紡ぐ・織る・編む〜

■■■■■2.準 備 機

■■■1秒で糸をつなぐマッハスプライサー 〜高速化を支える技術〜  「ノットレスヤーン:結び目無し糸つなぎ」紡績機の開発

 昭和54年(1979年)10月にドイツで開催された「第8回国際繊維機械見本市(ITMA'79)」で、世界で初めて綿糸用マッハスプライサー
を搭載した自動ワインダーを我が国の紡績機器メーカーが発表しました。

@マッハスプライサーの原理(図1-1、1-2)

 自動ワインダーとは糸を紡ぐ「紡績」の最終工程に位置し、太さのばらつきや汚れなど糸の「欠点」を取り除き、糸の品質を均質に
整える機械です。この自動ワインダーでは欠点を取り除く度に切り離された糸をつなぎ直す装置が必要となります。それがマッハス
プライサーで、圧縮空気を使って結び目(=ノット)無しに糸をつなぎます。
この装置の登場によって世界の繊維産業は「ノットレスヤーン」の時代を迎えました。

従来型 マッハスプライサー マッハスプライサーの原理

A 結び目を解消! ノットレスヤーン

 マッハスプライサーが誕生する以前は、「ノッター」という装置で機械的に糸を結ぶのが主流でした。ところがノッターで糸を結ぶと、一本
の糸に何十箇所もの結び目ができてしまいます。編機や織機などの工程では、結び目が引っ掛かり、機械を停めるトラブルがしばしば起
こっていました。さらに生地になった後は、結び目が糸のほつれや穴明きの原因ともなりました。
 マッハスプライサーによる「結び目=ノットの解消」(写真8)、という紡績糸の品質向上は画期的なことで、精紡機の大規模化や高速化、
自動ワインダーでのラージパッケージ化など紡績工程の生産性向上を促します。織編工程においてノットによる機械停止トラブルや生地
のほつれ、穴明きといった問題の低減により織物や編物の高品質化、そして無杼織機の普及をはじめとする織機や編機の効率化高速
化による生産性の向上に寄与しました。マッハスプライサーがつないだノットレスヤーンは、多くの繊維機械の進化に貢献し、そして製品
流通まで含めて繊維産業全体に多大な影響を与えたのです。

   
 (写真8 繊維機械の進化に寄与したノットレスヤーン)



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